狭小住宅の簡単な説明
二Iグラムのアルコールというのは、日本酒だとだいたい半合です。
ワインならグラス一杯(一〇〇ミリリットル)、ビールでも一杯(二五〇ミリリットル)に相当します。
ですから少量飲酒といっていいと思うのですが、この程度の少量飲酒であっても、飲まない場合と比べると、乳がんの発生率はI〇八Iセン上局くなるという結果でした。
またアルコール飲料の種類にかかわらず、ワイン、ビール、蒸留酒(ウイスキーなど)のどれでも、飲酒量が増えるとリスクは高くなりました。
つまり、ワイン一杯程度の少量の飲酒のところからリスクの上昇が始まって、アルコールの飲酒量が増えるにつれて、乳がんの発生率も直線的に高くなるという結果でした。
少量飲酒でもリスク上昇は始まる よく、ワインは健康によいといわれます。
けれども乳がんに関しては、ワインだけに特別予防効果があるということはもちろんなくて、どのお酒でもよくないことを示すデータです。
アルコールとがんとの関係というと、大量飲酒が悪いというイメージがあります。
けれども、かならずしも大量飲酒に限らず、比較的少量の飲酒の段階から、乳がんリスクの上昇が始まることを、この研究は示しています。
ちなみに、どうしてアルコールによって乳がんのリスクが高くなるのか、そのメカニズムを説明しえる実証的なデータが、最近出始めています。
たとえば、健康な女性をランダム(無作為)に二つのグループに分けて、一方にはアルコールをI定量飲んでもらい、一方のグループは飲まないで、それ以外は同じものを食べてもらいます。
すると、アルコールを飲んだグループのほうが、エストロゲンなどの女性ホルモンの血中濃度が高くなります。
エストロゲンが過剰だと、乳腺細胞の分裂が促進されて、乳がんのリスクが高まるといわれています。
ですから、アルコール摂取↓エストロゲン増加↓乳がんリスクの増大、というメカニズムが、最近考えられているわけです。
ここまでは、がんとの関係についての話です。
では心筋梗塞に対するアルコールの影響はどうでしょうか。
これは非常に多くの研究がなされていて、お酒を飲む人のほうが、飲まない人よりも発生率の低いことが、割合はっきり分かっています。
けれども、お酒の種類、ビール、ワイン、ウイスキーなどによって予防効果の大きさは違うのかとが、お酒の飲み方、たとえば飲む頻度や一回に飲む量などの影響については、じつはまだあまり分かっていません。
この問題について調べた、最近の研究を紹介します。
この研究は、『ニューイングランドージャーナルーオブーメディシン』の二〇〇三年(平成一五年) 一月九日号に報告された論文で、ハーバード大学のグループが行ったコホート研究です。
米国の男性保健専門職(歯科医や獣医など)、三万八〇七七人を対象に調査を行いました。
一九八六年(昭和六一年)に、ビール、赤ワイン、白ワイン、そしてウイスキーなどの蒸留酒という、四種類のアルコール飲料について、平均的な飲む頻度や、一日に飲む量を質問しました。
この調査は一回だけではなくて、四年に一回の割合で繰り返し行いました。
そのうえで、一九九八年(平成一〇年)までコー年間の追跡調査を行ったところ、一四一八入が心筋梗塞になりました。
調査では、まず平均して週に何日飲むかという、頻度の影響を調べました。
まったく飲まないか、または週に一日未満しか飲まないグループと比べると、週にI~二日、週に三~四日、週に五~七日飲むグループの心筋梗塞の発生率は、それぞれ〇・八八倍、〇・六八倍、〇・六三倍でした。
つまり週にI~二日だと、〇・八八倍であまり変わらないのですが、週に三日以上飲むグループでは、週に一回未満しか飲まないグループより、心筋梗塞の発生率が低いという結果でした。
次に、同じ頻度で飲む人たちを、さらに一日あたりどのくらい飲むかで分けて調べました。
たとえば週に三~四日飲むというグループを、さらにアルコール換算で一日一〇グラム未満、一〇~二九・九グラム、三〇グラム以上という三つのグループに分けて発生率を調べました。
すると、一日一〇グラム未満の人も、三〇グラム以上の人も、心筋梗塞の発生率は変わりませんでした。
つまり、週に何日飲むかという頻度が高いと、心筋梗塞の発生率は下がるけれど、一日あたりたくさん飲んだからといって、発生率がそれ以上低くなることはないという結果でした。
さらに、お酒の種類ごとにリスク低下の程度を調べました。
ビール、赤ワイン、白ワイン、蒸留酒のそれぞれについて調べましたが、お酒の種類による大きな違いはありませんでした。
具体的には、アルコール換算で一日一五グラム以上飲むグループの心筋梗塞の発生率は、ビールでは〇・五七倍に下がりました。
ウイスキーなどの蒸留酒では〇・六七倍、赤ワインでは〇・六四倍、白ワインでは〇・七四倍に下がりました。
つまり、アルコールによる心筋梗塞のリスク低下というのは、アルコールの種類によって変わるわけではなくて、どれもだいたい同程度だったということです。
この調査の対象になった、米国の医療専門職の人たちは、この四種類の酒のなかでも、ビールと蒸留酒をよく飲んでいました。
イタリア人やフランス人とは違って、白ワインや赤ワインはあまり飲まれていませんでした。
そのために、この集団では、ビールと蒸留酒による心筋梗塞のリスク低下は統計的に意味のある結果になりましたが、白ワインと赤ワインによるリスクの低下については、飲んでいる人が少なくて、統計的に意味のある結果にはなりませんでした。
ワインには、アルコールに加えて抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれています。
そのため、ビールや蒸留酒などよりも、心臓病予防効果が大きいのではないかという議論があります。
けれども今回のこの結果は、そうした考えを支持するものではありませんでした。
この点について、この研究グループは次のようにいっています。
・調査の対象になった集団で一番多く飲まれているお酒が、心臓病に対する予防効果も、一 番はっきりでるのではないか。
・この研究の対象集団は、おもにビールや蒸留酒を飲んでいるから、この二種類のお酒による心臓病予防効果がはっきり観察された。
・もしも、おもにワインを飲んでいる集団で研究すれば、ワインの効果がはっきりでて、それ以外のお酒の効果ははっきり観察できないのではないか。
つまりこれは、お酒による心筋梗塞の予防の本質というのは、アルコールそのものの影響によるという考え方です。
アルコールの心臓病予防作用としては、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やすとか、血液の固まりやすさを抑えるというようなことがいわれています。
こういうアルコールの作用というのは、ワインだろうがビールだろうが、アルコールそのものによってもたらされるもので、それにポリフェノールがつけ加わったからといって、大きく変わるものではないというわけです。
ちなみに、この研究の限界として、一日に五〇グラム以上アルコールを飲むようなヘビードリンカーは、対象者のごく一部(三・五パーセント)にすぎませんでした。
多量飲酒によって、血圧の上昇などが生じますので、心筋梗塞のリスクも上かってくる可能性があります。
けれどもこの研究では、多量飲酒の影響は、十分に評価できていません。
一日五〇グラムのアルコールというのは、日本酒でいうと二合強です。
一日に二合飲むというのは、日本ではけっして珍しいことではありません。
「多量飲酒」というより、むしろ「平均的な飲酒量」かもしれません。
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